(2007年11月19日)

リスボンからも注文

─ 「日本語」教科書を手に取ってみて、とても出来栄えがいいのに感心しました。

若井田 今、一般的な教科書をごらんになるとわかりますが、漫画チックなイラストなどが入ったり、どこか子供に媚びているように感じます。「日本語」教科書を作るとき、子供に媚びない、品格のあるものにして、将来、子供が大人になったとき、この教科書で勉強してよかったな、と思えるようなものを作りたい、と思いました。これが基本的なコンセプトです。

─ ないものねだりをするなら、落語など笑いに関する内容がやや不足しているかな。

若井田 私たちも落語など話文化について、かなり検討しました。落語は原案の中には入っていたのですが、これは話芸なので、テープやCDをつけるかどうか、むずかしい面があって今回は見送りました。今、中学生用の最後、3冊目の「日本文化」という教科書をつくっているのですが、そこで取り上げられるようなら取り上げてみようか、と検討中です。

この教科書「日本語」は、今年4月に世田谷区立小・中学校の児童・生徒全員に無償で配って、それぞれの学校で使っています。それだけでなく、北は北海道から南は沖縄まで、多くの学校や関係機関からぜひほしい、という注文があって、あわてて増刷しました。

─ 予想外の反響でしたか。

若井田 いや、結構そういう問い合わせもあるんじゃないかと、ひそかに思っていました。意外だったのは、区民、保護者の方から、自分の子供の学年以外の「日本語」もほしい、という注文が多かったことです。驚いたのは、子供が使う教科書の外に、自分用のも別に1冊ほしい、と買いに来られたり……先頃、ポルトガル・リスボンの日本人学校から教科書の注文が入りました。海外にもこれを広めていきたいと思っています。

─ 「日本語」が出来るまでの経緯は?

若井田 平成15年から「美しい日本語を世田谷の学校から」という取り組みをすることになりました。言葉が、思い、考え、感じる基盤である。自分を語り、表現し、話し合う基盤である、そして日本文化の基調が「日本語」であるというコンセプトの下に、日本語で深く考える、自分を表現できる子供を育てよう、と考えたのです。

これを学校のすべての教育活動で行なう運動を起こそう、登校時には元気よく挨拶をしよう。朝礼では原稿を読まずに、自分の言葉で話そう、校長先生から季節感に富んだ話を聞こう、音楽の時間なら美しい言葉の日本の歌を歌おう、社会では調べたことを自分の言葉で発表する、英語でも日本語とくらべてみよう……など、国語の時間以外でも朝から晩まで日本語を大事にする活動をしようと始めたんです。