(2006年10月01日)

座談会『若い世代へどう迫る?』
石川、中山、福原、菅原、窪寺、浅岡、住田、岡崎

入学試験に出ないと…

石川 それが一番大きな問題です。それで文科省にも陳情に行ったのです。というのは、今の高校生は試験に出ないと勉強しない。私立大学では漢文を試験に出すと、受験生が減って経営に問題が生じる。だから漢文は出題しない、というわけで、非常に易きについているのが現状です。ですから、古典の教科書に漢文は入っているんですか、試験に出ないからそこはとばしてしまう。これは文科省としては見すごしてはいけないことではないか、高校教育を歪めているのではないか、私立大学に通達を出して、私立大学の入学試験に漢文の問題を出しなさい、というべきだ、と陳情したわけです。

でも、ダメなんですよ。このとき、私は記者会見をやりました。報道機関が7社来ましたが、実際に記事にしたのは「ジャパンタイムス」だけでした。このとき一緒に陳情に行ったのは、全国連という高校の国語教師の団体の会長、学術会議の徳川宗賢という人と3人で行ったのですが、やっぱり効果なかったですね。

─ 報道しないマスコミも問題ですね。

中山 高校生よりも、もっと感性のフレッシュな中学2、3年生に、杜甫、李白のわかりやすい詩を読み下しでいいから、二十首ばかり教えておけばそれからあとで生きるんじゃないか。そういう下地があれば、定年退職後でもフト思いついて、漢詩をやってみようか、という気持ちになるのではないでしょうか。

三好達治が書いていることですが、将来の日本文化を背負うような人、もっとレベルの高い人がしっかり漢詩文をやる責任があるんじゃないか。そういう意味で国会議員にまずやってもらいたいですね。

─ 中曽根康弘さんに会報の「漢詩の周辺」の原稿を頼んだのですが、私にはそっちの方の教養は足りないので、と断わられました。長老クラスの政治家にも、今や漢詩文の教養は抜け落ちているようです。

中山 先ほどの小野代議士のような若い人たちに、国会の中にでも漢詩のグループを作ってもらうといいですね。

─ 2007年問題というのがあって、2010年頃までに800万人の定年退職が出るといわれています。漢詩連盟にとっても大きな漢詩愛好予備軍ですね。

中山 大企業に働きかけて、呆け防止にもいいとPRしたいですね。

福原 この間、三菱系企業グループ29社のOBの月1回の集まりに出て、幹事から漢詩の話をしろ、と頼まれたんです。冗談じゃない、と最初は断ったんだけれど、とにかくやってくれ、と押し込まれて、とうとう漢詩自分史のようなことを話すことになったんです。

結構、こういうふうに漢詩のことでも聞きたい、という人はいるんですなあ。われわれの年になると時間だけは十分ある、という人が多いですから。

─ 漢詩連盟も少子化対策と高齢者対策の二つが必要になりますね。福原さんの仲間のように、漢詩は作らなくても、興味をもつ人にも会員になってもらえるといいですね。その人たちも興味をもって読める会報やホームページを作らないといけませんね。

窪寺 新会員のお誘いのビラはありますから、ぜひ、福原さん持ち帰って、OBの方々に配って下さい。

浅岡 教える先生の方はどうなっているのだろうか、と考えるのです。

石川 教師を集めて研修をやってはいます。今も少しずつ広げています。斯文会でも夏期講座として、漢文教育学会で2回、教養講座と教育講座を3日間ずつやっていて、いつも満員です。70人の定員枠で全国から熱心な先生が参加しています。その他に他方に拠点をつくって、たとえば広島、盛岡などで研修をやっています。全国にこういう拠点を、だんだんふやしていくつもりです。教員の再教育といってもいいでしょう。