(2008年05月10日)
宇多喜代子、中沢けい、石川忠久、岡崎満義

もっと読みやすく

中沢 ネット上ではよく無礼なやり取りがあって、ノイローゼになる子もいるのですが、やはり直接人に何か言った時には、相手の顔色が変わったり、最後は怖いことになったり、言葉を超えたものがあるのですね。そういう真剣勝負のようなことがあるのですが、ネット上だと、それはない。

宇多 会っていれば、黙っていても物を言っているのがわかる。今高校生や大学生と句会をすると、皆にポケットマネーで50円の葉書を1枚ずつ渡します。先生に後で手紙をください、必ず縦書きで、一番初めには季節のことを書くこと、と。しょうがないから縦書きしてくれますが、字はころころのを書きますね。中には句は書かないで、先生大好き、はは、とか。でも御本家の中国が横ではね。

石川 日本人ははじめ確かに中国から貰っているけれど、真似をしなくて良い。縦書きはちゃんと守り、変な略字は使わないようにする。特に漢詩は縦。これは中国がどう変わろうと日本は縦ですね。遠慮することはないですよ。日本のやり方でやる。

中沢 NHKのアナウンサーの原稿を私は見たことがあるのですが、このくらいの紙にワンセンテンスずつ縦書きで書いてあって、ぴっぴっとめくりながら読んで行くのですね。横に書くと駄目のようです。ですが画面上の情報は横書きで出ますね。あれはテレビ、受像機の画面が横長だ、というところからきているのでしょうね。でも、笑いごとではなくて、本当に自分たちの持っている縦書きの文化を守りたければ、受像機のディスプレイなども自分たちにとってどのようなものが良いのかアッピールした方がいいでしょうね。縦型ディスプレーがあれば縦書き表示も楽ですから。

岡崎 最後に、漢詩、或いは漢詩界に対する希望を述べていただければ、と思います。

宇多 もっと読み易くしていただく方が良い。私いつも、石川先生の春の詩とか夏の詩とか読んでいますが、これは分かり易くて好きですね。

石川 嬉しいですね。

宇多 日本のスタイルと言いますか、感性は、江南地方から来ていますから、江南の春などを読みますとじーんと来ますから、私たちの生活に関連付けて、皆で読めるような詩を普及させていただきたい。

石川 なるほど。

中沢 女の人がもう少し漢詩を作る楽しみを覚えてくれると、いろんなところで漢詩を耳にしたり目にしたりすることが出来るようになるのではないでしょうか。そういうことを考えています。

岡崎 お母さんがやってくれると子供に伝わりますね。石川先生、漢詩の衰退もある程度底を打ったのではないかと思いますが。

石川 こういう日本語の教科書が出来ているのも、その証拠だと思います。やはり、漢文の訓読でずーっとやって来たのですから、訓読で漢詩を堂々と朗誦して、それを覚えることが大切です。意味は後で分かれば良い。50なら50、100なら100、覚えたらこれは大きな根っこになります。私は漢詩は漢文の訓読で、50とか100とか、先ず暗誦することを勧めたい。