(2003年03月21日)

『明治以後の漢詩』

《漢詩連盟創立記念講演》
全日本漢詩連盟会長  石川 忠久

 

 最初に拙作、全日本漢詩連盟の創立を慶賀する詩を御披露させていただきます。
                           

  時維[こ]れ癸未[きび]茗溪の春
  迎え得たり羣賢畢[ことごと]く至るの辰[しん]
  ?唱[こうしょう]す二南[になん]風雅の義
  [とも]に攜[たずさ]う四海素心の賓[ひん]
  昌平黌[しょうへいこう][り]伝承古く
  夫子像前盟誓[めいせい][あらた]なり
  高会[こうかい]今従[よ]り長策を運[めぐ]らし
  [あい]期せん千載後来[こららい]の人

 時維れ癸未とものものしく出ましたが、平成15年は癸未[みずのとひつじ]の年であります。茗溪はお茶の水のこと。この前にある神田川を指します。「群賢ことごとく至る」、永和9年の春3月に催した蘭亭の会での王羲之の「老少咸[みな]集り、群賢ことごとく至る」とあります。「?唱す二南風雅の義」、二南というのは周南・召南のことで『詩経』を意味します。

 ?唱す、はつぎ唱うということです。『詩経』の風雅をついで唱う。「同に攜う四海素心の賓」ちょっと対がゆるいのですけれど「素心」というのは陶淵明の詩に出て来る言葉です。飾り気のないこころ。我々の会もどんどん輪を拡げて四海の素心の人達と一緒に、共に手を携えて行きたいと思うのであります。遠く詩経の風雅の義を継ぎ唱い、四海の素心の人達と一緒に手を携えて行きたい。

 ここ湯島の聖堂は昌平黌の跡で、ずっと古い伝統を、守っているわけであります。「昌平黌裡伝承古く」と。夫子像、これは庭にあります孔子像のこと。その孔子像の前で、こうして誓いを新たにしているわけでして、「夫子像前盟誓新なり」であります。

 高会というのはこの、全日本漢詩連盟のような会を言います。長策はすぐれた策と長い策の両方の意味がありまして、両方の意を込めています。これから長くずっと続く優れた計画をめぐらせて、千年の後にやって来る人を期待する、という事であります。

講演会『明治以後の漢詩』
全日本漢詩連盟会長 石川忠久