(2005年07月01日)

『大正天皇の漢詩』

《記念講演会》
全日本漢詩連盟会長  石川 忠久

 大正天皇は、明治29(1895)年、まだ皇太子で満17歳のときに三島中洲(67歳)が東宮侍講となってから漢詩を作り始め、大正6(1917)年迄、約20年間に、1367首の漢詩を作られた。毎週一首以上のペースである。

     過目黒村

雨余村落午風微 雨余の村落 午風微なり
新緑陰中胡蝶飛 新緑陰中胡蝶飛ぶ
二様芳香来撲鼻 二様の芳香来たって鼻を撲つ
焙茶気雑野薔薇 茶を焙る気は雑る 野薔薇に

 これがお作りになった最初の句。雨上がり、新緑の郊外の爽やかな村、そこに二つのよい香りが漂うという、なかなか面白い着想で、王様芸ではない、詩人であることがわかる。