(2005年07月01日)
講演会『大正天皇の漢詩』
全日本漢詩連盟会長 石川 忠久

歴代天皇の中でNo.1

 余談だが、「少年老い易く」は、実は日本人の作だ、ということが今から10年程前に証明されて、定説になった。作者が誰か、は分らない。江戸の初期、京都五山の禅寺の和尚さんの作だという。

 なぜ朱子の作品とされたか。それは 朱子には「四時読書楽」という、春夏秋冬の読書の楽しみを詠んだ作があって、その中に似た表現があるからだと思う。日本人の作と分って皆びっくりしたが、良く考えて見ると、勉強を勧める作品は、日本人の方がずっと上手だ。中国人の詩は道学臭がぷんぷんする。「偶成」は、最初の二句は説教だが、後半二句は説教じゃない。ほのぼのした漫画的雰囲気があると思う。

 大正天皇には、夏の読書の詩にも、杜甫を引いて、「帝範」を繙いて仔細に看る、という良いのがある。何れご紹介したい。

 このように大正天皇は三島中洲について漢詩を学ばれて、相当のところまで行かれた。歴代天皇のナンバー・ワンで、2番目は空海のころ、西暦800年頃の嵯峨天皇。他にも二桁の詩を残された方はおられるが、三桁の方はおられない。まして、4桁は大正天皇唯お一人。今後ももっと研究して、広く世に紹介して行きたいと思っている。