(2005年07月01日)
講演会『大正天皇の漢詩』
全日本漢詩連盟会長 石川 忠久

韓国皇太子を招いて

 次ぎは、明治31年、皇太子30歳。葉山の御用邸に韓国の皇太子を招かれて、梅見をされた時の詩。

   葉山南園与 韓国皇太子同看梅
         葉山南園にて 韓国皇太子と同[とも]に梅を看る
不管春寒飛雪斜 管せず 春寒飛雪斜なるに
喜君来訪暫停車 喜ぶ 君来訪して暫く車を停むるを
葉山歓会興何尽 葉山の歓会 興何ぞ尽きん
共賞園梅幾樹花 共に賞す 園梅幾樹の花

 この詩は日韓併合の2年前、韓国皇太子は日本に留学しており、当時12歳。その後もずっと日本で教育を受け、梨本の宮の王女と結婚、陸軍中将まで上られた。

 この作品を見ると、併合前夜で明治政府がお膳立てしたのか知らないが、純粋に韓国皇太子をお招きして喜ばれた心情がよく出ていて、政治の色合いなど感じさせない、良い詩だと思う。

 次ぎは、菅茶山の有名な詩を取った詩である。

    秋夜読書
秋夜漫漫意自如 秋夜漫漫 意自如
西堂点滴雨声疎 西堂の点滴 雨声疎なり
座中偏覚多涼気 座中偏えに覚ゆ 涼気多きを
一穂燈光繙古書 一穂の燈光 古書を繙く