(2006年10月01日)

〈書評〉 竹内実編著「漢詩紀行辞典」

常務理事  住田 笛雄

 この度、岩波書店の山崎 貫氏より、題記新刊のご案内をいただいた。封帯の名句、「読んで旅する、旅して読む」が本書の特長を如実に示している。中国全土を最古の王朝の創始者の名にちなんで「禹域」と称し、その禹域を漢詩の世界で親しまれている「江南」「長江悠々」などの八地域に分けてそれぞれを章とし、「辞典」と称するにまことに相応しく、全域をカバーしている。更に、我が「扶桑」を加えてあることも嬉しい限りである。

 330篇の漢詩一首一首について、独立しての鑑賞も出来るよう、原題・訳題・作者名・原詩・訳詩を、上下対照して掲げており、巻末には「地名・事項索引」「人名索引」「表題・名句一覧」があって、まことに親切な配慮がなされている。

 人名索引を引いてみると、我らが石川忠久会長名もあり、「長江下流」の章で魯迅の故居を訪ねた折の詩が採られている。

 漢詩に親しむきっかけとして、或いは中国旅行案内として、色々な形で活用出来る有益な辞典の出来たことを歓迎したい。製本も携帯に耐え得るしっかりした心くばりがしてあってよい。

(岩波書店刊 4700円+税)