(2008年02月15日)

この一冊・「詩韻精英」

全漢詩連顧問  濱 久雄

 最近、待望の『詩韻精英』が、神田の松雲堂から再販されました。本書は昭和57年5月に、松雲堂書店により復刻されましたが、3年で在庫がなくなるほどの売れ行きで、再販を求める方も多い名著でした。

 『詩韻精英』は、明治13年に南越の篤学者、池田観によって編集されたもので、幕末・明治を代表する漢詩人、大沼枕山が本書に序文を寄せています。その中で枕山は本書を高く評価し、『詩韻含英』『韻府一隅[いんぷいちぐう]『詩韻珠?[しゅき]の三書は廃すべきか、と述べているほどです。本書は『詩韻含英異同弁』の内容をふくらませたもので、次のような特色があります。

(1) 『詩韻含英』と同様に、詩語の平仄を明らかにしているが、その数も多くなっている。なお、『詩韻含英』は平仄の区別のしるしを−で示すが、本書ではヽを用いる。

(2) 頭字韻が明記されている。頭字韻とは、詩に用いられる熟語の頭字を韻に配列したのもので、作詩に便益を与えた。そこで、わが国でも、津藩の津坂東陽の子息、津坂拙脩が東陽の意を受け継ぎ、『頭字韻』と称する詩書を天保三年に出版したほどである。これは清代の余春亭が著した『詩韻珠?』から収録したものである。

(3) 平韻の対語[ついご]を多く取り上げているので、特に律詩を作成する場合、大いに参考となる。そして、仄韻には、これに対して「摘句」として、諸家の名句を掲げている。

(4) 頭注(欄外に記された注釈)に、詩の熟語の出典を明らかにし、短文を添えている。これを大沼枕山も高く評価しているのである。ただ漢文で記されているので難しいが、辞書を丹念に引いて解読すれば、実力の養成にもなる。

 なお、本書の大きさは『詩韻含英』と同じですが、1300頁で分厚くなっています。価格は9000円プラス消費税です。