(2010年08月15日)

名筆の漢詩に酔う

鷲野正明著「漢詩と名蹟」

常務理事  菅原有恒

 詩経・楚辞から陶淵明・李白・杜甫の詩、蘇軾の「赤壁の賦」まで、人口に膾炙した漢詩文の名作を読みながら、名筆の筆になる書をカラー図版で鑑賞する。筑波大学の内山知也先生のお言葉を借りれば、「読んでも眺めても十分に楽しめるような美しい贅沢な本」、正にその通りの本が今やっと世に出た。

 筆者は、国士舘大学教授であり、全日本漢詩連盟理事、千葉県漢詩連盟会長として要職にあり漢詩の造詣が深い。はしがきによると、「漢詩文を鑑賞する人は書作品をあわせて鑑賞して書の美しさ味わい、書を愉しむ人は漢詩文をじっくり読んでその内容の深さを知って頂きたい」と願っている。

 この本は、漢詩文の原文を掲げ、書き下し文・口語訳・語釈・解説を施し、書作品は、カラー刷で、書人名・略歴が掲載されている。

 書人も、王鐸・菫其昌・何照基・趙孟?など有名な書家ばかりでなく、副島種臣・会津八一など日本の政治家、文人もいる。特に、この豊富な書作品を日中の博物館所蔵録から集められたことに敬意を表する。

 漢詩を書する愛好家には、先人が漢詩を書く時に、いかなる布置・墨色・運筆等で書いていたかが、カラー刷ならでは一層よく理解でき、その息吹が感じ取れよう。

 更に、会報27号で掲載した小職の小論文「詩書両輪考」を地で行く、蘇軾・黄庭堅・米?の自詠自書が掲載されていることは嬉しい限りである。漢詩は、漢詩を作るだけでなく、それを自書或は自吟或は自画して表現してこそ理解が深められると思う。今後も、継続して第二弾が編集されることを願っている。

 終わりに、この本の出版社は(株)二玄社。

  住所:〒113─0021

  東京都文京区駒込6ー2ー1

  電話:03─5395─0511

  定価:2100円+税