(2004年04月01日)

詩作に役立つ辞書

全日本漢詩連盟常務理事  住田 笛雄

 漢詩を作り始めて最初に遭遇する困難は「平仄」のことである。これは普通の日本人としての教育・教養では触れて来なかったことなので、その意味で文化的衝撃である。小生も早くこれになじまなければ、と慌てて林古渓の新修平仄辞典(A)と上村方六の平仄便覧(B)を買い込んだ。

 しかし、使ってみるとAは字の配列がアイウエオ毎の字画順で、字数が多いのでなかなか探す字に行き当たらず、Bは簡便だが逆に字数が少なく、結局、漢和辞典を引きなおすことが必要になる。そこで、初学者には詩語辞典と漢和辞典があれば必要かつ十分、との思いにいたる。

 目下愛用しているのは、太刀掛呂山の「だれ漢」(C)・河井酔荻「詩語辞典」(D)・川田瑞穂「詩語集成」(E)・鎌田/米山「大漢語林」(F)・石川他「福武漢和辞典」(G)である。

 Dは詩語分類を日本語立としている点が優れていて、使い勝手がすこぶる良い。Eは対句の例が豊富で大いに参考になる。ただ、CDE何れも、どの韻の例がどの頁にあるのかの目次が無いので、小生は何れについてもそれを作成し、表紙の裏に挟んでおいて活用している。これはどうしても欲しいものである。

 「詩韻含英」にはまだ手が出ない。別に内容が難しいと云うのではない。これは乾隆23年(1785年)のスタイルそのままのものを、明治12年(1879年)に日本で出したのが今でもそのまま刷られているところが頂けないのである。

 もう版権の問題も無いだろうし、紙の節約も当時ほどには必要ないだろうから、ここらで是非とも「現代化版」がほしい。(時間が許せば自分でやってみたいと思う位である

 漢和辞典は特にGが良い。携帯版(A5)であるにも拘わらず、親字数が8000と多く、本文囲み欄に作詩上参考になる解説が沢山あり、電車の中で一寸読んでも楽しく、活用価値の高いものである。

 FG何れも巻頭に音訓索引があり、例えば触をショク、フレル、サワルの如く重複を厭わずアイウエオ順に整理してある。もし、これに親字の下の部分(漢)ショク(呉)ソク〓.chu 3108」がついていれば初心者にとっては完璧な平仄・標音辞典になると思う。

 辞書のデータはコンピュータ化されていると思うので、組み合わせれば直ぐにも出来よう。出版社のほうで考えてくれれば、ナと思っている。(待てないので手作りを開始した。アの部のみで1ヵ月、完成には4年を要するか)

 なお、ピン音を探すには、精選日漢・漢日詞典が簡便で良いと思う。