(2004年07月01日)

松雲堂書店のこと

全日本漢詩連盟常務理事  川久保 廣衛

 漢籍・和刻本が店内に処せましと積みあげられて、文字通りの古本屋松雲堂書店。神田神保町、靖国通りに面してある。現在の店主野田京子さんは2代目義太郎夫人である。

 筆者が松雲堂を知ったのは東京オリンピックの開かれた昭和39年前後の頃で、大学への行き帰りに立寄りするようになった、40年前のことである。

 が、40年前といっても創業者野田文之助氏(書籍・美術商として最初の黄綬褒章受章者、葬儀の際は、反町茂雄氏が葬儀委員長には、お会いしていない。筆者は2代目義太郎氏になってからのおつきあいである。

 昭和52年に二松学舎大学は創立100周年を迎えて、二松詩文会を創設した折に、二松学舎との縁を持つ松雲堂にお世話になった。当時、続々と漢詩関係の出版物が店頭に飾られていた。秘かな漢詩ブームの到来と期待された折に、突然義太郎氏は旅先にて亡くなられたのである。

 すでに店主となっていた義太郎夫人は、13回忌も済まされ、文之助、義太郎に続き、漢籍一筋にお店を次女の娘さんと守っておられる。昨年、本会顧問であった石川梅次郎(昨年死去)先生の『漢詩の作り方』を発行された。好評であるという、業務精励をもって受賞の栄に輝いた祖父文之助翁、夫義太郎氏の陰徳のしからしむるところかと思っている。