(2004年07月01日)

瞥見「大東亜戦争詩史」

全日本漢詩連盟常務理事  中山 清

 題名が一般に使われている「太平洋戦争」でないことに、最初、若干の違和感をもって頁を開きました。

 著者、清水浩(雅号、怡荘)氏は自ら詩社を主宰され、「二松詩文」の同人編集委員として投稿詩の添削にあたられており、今年3月には本会の理事に就任された方です。

 二松詩文では毎号、氏の作品も拝見できますので、多くの方は既に御存知の事と思います。

 陸士最後の卒業で、終戦時には長崎で高射砲隊の小隊長で被爆されたと聞いています。

 前史編の満州事変から終戦迄の戦史、更に列伝、戦後編と、律詩、排律、古詩、絶句と、各種詩形を用いて戦史を詠じられています。

 膨大な数の中から七言絶句一首を引用させて戴きます。

    偃武聖断
大纛紛紜決議遅 大纛[たいとう] 紛紜
議を決すること遅し
捨身敢吐断腸辞 捨身 敢えて 吐く断腸の辞
惻惻玉音回海内 惻々たる玉音
海内[かいだい]を回[めぐ]
貔貅百万枉班師 貔休[ひきゅう]百万
[ま]げて師を班[かえ]

(和訳、語釈も付加されています)

 視点は、題名と違って公正で、何故冒頭の書名が選ばれたのか著者にお聞きしたいところです。勿論、人の書く歴史、書かれた時代世相、書いた人によって違ってくることは周知の事、現に幕末以来の歴史が見直されています。