(2004年10月01日)

失われる漢籍に歯止め

21世紀COEプログラム採択までの経過
二松学舎大学  大地 武雄

 平成2年全国漢文教育学会役員会で、国文学研究資料館のような漢文学研究に関する資料を収集し、利用できる施設を作るべきであるという意見が出された。

 当時、全国的に住宅建築ブームで、旧家がとり壊され、そこに所蔵されている貴重な漢籍や漢学の資料が廃棄処分されている現状があり、貴重な文化遺産の喪失であり、歴史資料の欠落でもある。失われないうちに何とか収集せねばならない。直ちに石川忠久会長より具体的計画を立てよとの指示があった。

 一方、日本中国学会でも平成4年10月、第44回大会総会で「漢字文献資料に関する懇談会」の設置を決定し、失われて行く漢字漢文資料の収集と整理、利用及びこれらの資料を解読する人材の育成に取り組んで行くこととした。

 当時、日本学術会議会員であった石川忠久先生は、日本学術会議東洋学研究連絡委員会で、この件について発議し、その後戸川芳郎会員も加わって「漢文資料研究館小委員会」を設け、平成6年7月日本学術会議東洋学研究連絡委員会が中心となって「漢詩資料総合学術センター」設置の勧告案を作成して提出したが、残念ながら勧告の決定は得られなかった。

 平成13年4月、石川忠久先生が二松学舎大学学長に就任され、この構想を実現すべく努力され、平成14年10月1日二松学舎大学東洋学研究所内に「国際漢字文献資料センター」を設置し、漢字漢文の文献の収集と整理、これらを解読、研究する人材の育成を始めた。

 書誌学講習会、古文書解読講習会、講演会などを開催して後進の育成にあたった。

 一方では、文部科学省のCOEプログラムにも応募したが、この時は残念ながら採択されなかった。

<COEについて>

 1面の「風信」欄でもふれられているが、「21世紀COEプログラム」の採択は2002年度から3年にわたって、93大学の274件が選ばれている。'03年度は28件。大変な激戦だった。選者は日本学術振興会が中心となった委員会(江崎玲於奈委員長)が担当する。

 理系・文系をとわず、世界的な水準からみてすぐれているか。
 将来、世界最高水準になりうるか。
 学長を中心として重点的に取り組めるか。
 現実的な計画か。

などの観点から審査される。今年度は延べ1千人の専門家による書面審査のあと、分野別部会で決まった。