(2007年04月01日)

わたしの漢詩作法(3/6)

2006年 松山漢詩大会入賞者

菅茶山の詩を参考に

<日本吟剣詩舞振興会会長賞> 横山 静子

    嵐山賞花
桜花如雪水如煙 桜花[おうか]は雪[ゆき]の如[ごと]
[みず]は煙[けむり]の如[ごと]
行到嵐山別有天 [ゆ]き到[いた]る嵐山[らんざん]
[べつ]に天[てん][あ]
渡月橋頭春澹蕩 渡月[とげつ]橋頭[きょうとう]
[はる]澹蕩[たんとう]
軽風吹送美人船 軽風[けいふう][ふ]き送[おく]
美人[びじん]の船[ふね]

 石川忠久先生の数々の著書や「漢詩への誘い」また、服部承風先生の作詩助言・漢詩習作ノート、初学詩偈法の書を座右にして、余暇に作詩を楽しんでおります。

 此のたび、全日本漢詩大会に投稿させて戴いたところ図らずも入賞いたしまして驚き恐縮いたしております。そのうえ愛媛県県民総合文化祭・漢詩大会に出席させて戴き、素晴らしい吟詩舞・華書道吟等を拝見いたしまして大いに感激いたしました。また伊藤竹外先生を始め関係諸先生方のご盡力に感謝いたしております。心より厚くお礼申し上げます。本当に有難うございました。

 遠足や花見等で色々と思い出の多い嵐山の詩を作ってみようと、先賢の詩を調べておりました処、日本名勝詩詳解に、菅茶山の「嵐山看花」「萬樹桜桃擁碧漣・花間無処不芳筵・風来岸岸齊篩雪・失卻中流上下船」の詩が掲載されておりましたので、同じ先韻でこの詩を参考にしながら「嵐山賞花」の詩題で作ることにいたしました。

 嵐山近くの車折神社の例祭で、毎年5月に王朝の昔そのままに十二単衣や狩衣装束に身をかためて屋形船に乗り込み、芸を披露する三船祭りと云う華麗な祭典が有りますので、最初に結句「軽風吹送美人船」の句を作りました。

 亀山上皇が「くまなき月の渡るに似る」と云い、歩きながら月を見ていると、月も同じように橋を渡って行く感がするとして渡月橋と名付けられた「渡月橋」は風流な名前であるだけでなく、四季に変化する嵐山とせせらぐ大堰川に架け渡された優美なさまは天下の名勝によく溶け合って一幅の絵となっております。

 そこで転句に「渡月橋」の固有名詞を取り入れ「渡月橋頭春澹蕩」としまして、起句に大堰川と岸辺の桜花の景色を「桜花如雪水如煙」と叙し、承句に「行到嵐山別有天」と苦吟推敲いたしまして、「嵐山賞花」詩が出来ました。