(2007年04月01日)

わたしの漢詩作法(2/6)

2006年 松山漢詩大会入賞者

市河米菴の詩を読んで

<全日本漢詩連盟会長賞> 川端 恵美

   雨中嵐峡
春山如夢雨如煙 春山[しゅんざん]は夢[ゆめ]の如[ごと]
[あめ]は煙[けむり]の如[ごと]
時有落花翩碧漣 [とき]に落花[らっか]の碧漣[へきれん]
[ひるがえ]る有[あ]
風趣?然詩味足 風趣[ふうしゅ]?然[おうぜん]
詩味[しみ][た]
歌船繋在畫橋辺 歌船[かせん]は繋[つな]いで
画橋[かきょう]の辺[あたり]に在[あ]

 このたび思いもよらず入賞の栄を戴きまして有り難うございました。又、愛媛県県民総合文化祭・漢詩大会に於きましては名流の先生に吟舞して戴きましたことは終生忘れることの出来ない思い出となりました。

 またこの素晴らしい大会を開催されました全国漢詩大会会長伊藤竹外先生ならびに大会実行委員の諸先生方に心より厚くお礼申し上げます。本当に有り難うございました。

 天下の名勝とうたわれる嵐峡の詩を作ってみようと、「嵐峡」について「広辞苑」を引きますと、嵐峡とは、嵐山の麓を流れる大堰川の山峡を云う。また大堰川とは、丹後山地から亀岡盆地を経て、京都盆地北西隅、嵐山の下へ流れ出る川。亀岡盆地と京都盆地の間は保津川とも云い、下流を桂川とも云う。嵐山付近では平安時代、管弦の船を浮かべて貴族が宴遊したと載っておりました。

 また花見や京都見学に参りました節、戴いたり買い求めましたパンフレットや小冊子などを繙いて居りましたところ、市河米菴の「雨中鴨川晩望」と題す七言絶句、「川雲溌スルガ如ク雨傾クガ如ク・三四條橋暮色横タハル・水ヲ渡ル帰牛薪ヲ戴ス婦・コトゴトク淡墨畫中ヨリ行ク」、と云う詩が載っておりました。この詩を見て詩題を「雨中嵐峡」とし、この詩の起句より、起句の三字句を「雨如煙」としようと思いまして韻を先韻と決めました。

 まず結句に詩語の三字句より「柳橋辺」を選び「管弦船繁柳橋辺」の句を作り、転句に「詩境足」を得て「明媚風光詩境足」とし、起句に最初に思った処の「雨如煙」、承句に「翩碧漣」を得て、起句を「春山如笑雨如煙」と為し、承句を「又有落花翩碧漣」として「春山如笑雨如煙・又有落花翩碧漣・明媚風光詩境足・管弦船繁柳橋辺」と一詩を成し得ましたが、起句の雨中に見える山が「如笑」ではおかしいので「如夢」に改め、転句「風光明媚」「明媚風光」では、もうひとつ感心しませんので、「風趣?然」に改め、下三字句の「詩境足」「詩味足」に改めました。

 転句の「管弦船」「歌船」とし、下二字句を「繁在」とし「柳橋」「畫橋」と、推敲を重ねて作詩しました。