(2008年04月01日)

三道一如で将来を拓こう

全漢詩連創立5周年にあたり
全漢詩連副会長  伊藤 竹外


伊藤竹外副会長

 一昨年11月、愛媛県に於いて開催した全日本漢詩大会は愛媛県、松山市などの官公庁を始め多くの協賛を得て、全日本漢詩連盟、四国漢詩連盟、愛媛漢詩連盟共催の下、同好者より投稿詩1000首、当日の参加者1000名を愛媛県民文化会館に集めましたが、この時、愛媛県教育委員会が配布したアンケート票の大半は感銘、感動しましたとの感想が寄せられるなど極めて盛会裡に終了できましたことは洵に意義のあることと思います。

 これまで文化庁、各県市などによって年々開催している国民文化祭漢詩大会が香川、群馬、鳥取、福岡、福井県などに開催された全国大会を顧みても投稿詩1000首以上は通例となりましたが、大会参加者は300名前後であった事を思えば李白、杜甫以来中国より恩恵を受けた漢詩界が、江戸、明治、大正、昭和、平成を経てきた漢詩文学史上に曾てなかった画期的なものであることが分かります。

 これは漢詩家自らの意志改革と併せ吟詠、剣詩舞界の協力が大半を含めています。漢詩道、吟詠道、剣詩舞道の三道一如を以って入賞作品他、構成吟舞などの提携、演出が実ったものです。

 漢詩文学の難解、深遠、幽玄の境地はとかく唯我独尊、孤高の自尊心をもって低俗を嫌ったところにありましようが、戦後より興った吟詠界はめざましく発展を遂げ全国に千数百の組織を背景に50万の人口を擁し、剣詩舞界も約1万の会員がすべて漢詩を素材として年々全国各地で数百回の公演、大会を開催して日本古来の伝統を誇っています。

 然しそれは吟じ舞う素材は殆んど漢詩ですが、元々遣唐使以来、恩恵を受けた二千年来の伝統を踏まえたものながら実際は吟詠、剣詩舞の歴史は極めて浅く、淡窓が桂林荘などで儒学指導の中で朗読したものや、勤王の志士たちが剣を揮った記録はありましようが、それを結社などで継承したものは皆無でその後、明治時代から琵琶曲の弾奏の中で一部朗詠したすぐれた演技者が戦前、戦後に吟界に転出したものが源流となり全国の各流、各派で最も古い伝統を伝えるものは98年以上のものは見当りません。

 そうして今日の漢詩作家の大半は吟詠家出身です。然も全日本漢詩連盟の会員は僅か2千名足らずで短歌や俳句などと異なりその難解さのために会員の増大を求めることは容易ではありません。曾て30年前、関西吟詩文化協会長の宮崎東明先生や六六庵吟詠会創始者小原六六庵などが「吟詠幹部たる者が作詩の勉強をしなくてどうして吟詠指導者たり得るか」と吟界に呼びかけたことが今日の漢詩界会員の原動力になっています。

 今後の漢詩界の課題もこの底辺の大きく広い吟界の協力を得、提携を図り更に各流各派の会員に呼びかけることこそ肝要であります。

 今、全国の漢詩界を見渡して抜群の指導者が極めて少ないことと併せ吟界との提携基盤が弱いことを憂えます。以って全日本漢詩連盟発展の構想として次の提案を図りたいと思います。

一、 連盟組織を「財団法人」に推しすすめ国、県、市などの援助、協賛を期待する。
二、 吟詠界の「財団法人・日本吟剣詩舞振興会」を始め傘下の50都道府県各吟詠連盟との提携を図ること。
三、 全日本漢詩連盟の下部団体として各県連盟の設立を促進すべく組織委員会を設けて推進する。
四、 会員の素質向上のため作詩研修計画を立案し連盟より講師を派遣する。
五、 全日本漢詩連盟の総会を全国大会として各県廻り持ちの規模に拡大する。

 右の内容は愛媛県漢詩連盟が実行し、更に四国漢詩連盟の設立と併せ協調の実を挙げていることですからできると確信します。