(2010年05月15日)

漢詩を載せる新聞がある!

長野県の「南信州新聞」大いにがんばる!

 全国紙の元新聞記者の友人が、長野県飯田市に旅したとき、地元紙の「南信州新聞」を買ったところ、「読者文芸」欄の中に漢詩が載っていて驚いた、と葉書をくれた。今は全国紙より地方紙の方が気骨のある紙面作りをしている感じがする、と書き添えてあった。

 早速、南信州新聞に問い合わせ、サンプルを送ってもらった。平成21年12月24日付の「読者文芸」欄に「楓社天竜漢詩会(指導 相原泥舟先生)とあって、8人の七言絶句が載っていた。いずれも新春にちなんだ作品であった。

 歳晩書懷宮島義寛
日月無涯生有涯 日月涯[かぎ]り無く生[せい]涯り有り
怱忙塵裏歳云移 怱忙塵裏[そうぼうじんり]歳云[ここ]に移る
一年偏愛読書味 一年偏[ひとえ]に愛す読書の味
未老吟身只嗜詩 [いま]だ老[お]いざるの吟身[ぎんしん]
 
[ただ]詩を嗜[たしな]

 歳晩作
清水鈴子
清貧守得我心安 清貧[せいひん]を守り得て我が心安く
敢忘世塵行路難 敢えて忘る世塵[せじん]行路の難きを
萬感交催餞年夕 万感交[こもご]も催す餞年[せんねん]の夕
鐘聲聲裏備春盤 鐘声声裏[せいり]
 春盤[しゅんばん]を備[そな]

  祭詩
萩元育夫
一歳揮毫賦所思 一歳毫[ふで]を揮って所思を賦す
拙詩幾首祭終時 拙詩幾首[せっしいくしゅ]祭り終わるの時
枯腸不妨老生樂 枯腸[こちょう]も妨げず
 老生[ろうせい]の楽しみを
好事耽將志未移 好事[こうず]に耽[ふけ]
 将[も]って志未だ移らず

 更に驚いたことがある。実は「読者文芸」のほかにも、嶋岡岳成さんの「漢詩季行」が月2回連載されていることだ。22年1月5日付の新聞には賀正にちなむ七言絶句が四首載っていた。

  丙寅元旦(大正十五年)小川射山(諏訪)
迎来五十七回春 迎え来る五十七回の春
髭上更看霜色新 しじょう更に看る霜色新なるを
尚有雄心凌碧落 尚雄心のへきらくをしのぐあり
江湖未必老風塵 江湖未だ必ずしも風塵に老いず

 春曉
河原棕陰(喬木)
東風吹暖度乾坤 東風暖を吹いて乾坤度り
數點梅花笑短垣 数点の梅花短垣に笑[さ]
黄鳥一聲幽夢破 黄鳥一声幽夢破り
暗香撲鼻潔詩魂 暗香鼻を撲って 詩魂潔し

 嶋岡岳成さんは「漢詩季行」をはじめたのは「趣味の詩吟勉強中に収集した地元伊那谷の漢詩人の作品を紹介したらとの思いから」だとコメントしている。

 南信州新聞にならって、地域密着を指向する地方・地域紙に、漢詩欄の常設を働きかけてみたらどうだろう。各県の漢詩連盟に、そうした動きがでてほしいものだ。