(2010年08月15日)

鉄の世界から漢詩へ!

485号を数える
北九州漢詩会  増岡光風

 私は北九州市で生まれ育ち、成人後は八幡製鐵所の職員として約四十年間鉄鋼業に従事してきた。この間の読書量は少ない方ではないと思っているが、それは小説を中心とした文学書であり、漢詩はほとんど私の眼に触れていない。

 高校時代(昭和30年卒)漢文は「古文」とともに選択科目であった。一目して難解な漢文を躊躇なく敬遠したが、選んだ古文の方もけっきょく楽しい科目ではなかった。

 退職間際になって、何気なく開いた書物で論語の文章に触れ、簡潔な言語で多くのことを表現できる漢文を初めて「カッコいい」と思った。

 退職後は何か趣味をと思っていた私は新聞の広告に誘われて、「漢文を読む」、さらには「あなたにも漢詩を作れる」という通信教育を受けたのだ。

 私を驚かせたのは、昭和43年から続いている北九州漢詩會の存在である。同じ町に居ながら四十年近く知らなかったのだ。

詩誌「玄海」最新号

 発足以来毎月発行されてきた詩誌「玄海」はこの八月で485号を数える。こんなに息の長い同人誌を私はあまり知らない。

 かつて私が所属した「九州文学」に次ぐものではなかったろうか。「北九州工業地帯は文化不毛の都市である」という文章を若い頃に読んだ記憶があるが、考えてみれば失礼な言い方ではある。

 北九州漢詩會には六年前入会し、「玄海」には毎月二首づつ自作の漢詩を掲載してもらっている。現会員は26名。高齢化が進み少しずつ減少してきた。ここで衰退させては多くの先輩に申しわけない。

 北九州市芸術祭では十数年来、漢詩大会を開催してきたが、今年は単に優れた詩を集めるだけでなく、昨年11月開催された福岡県漢詩連盟十周年記念大会に倣い、各界と協力して吟詠、詩舞、書道吟を併行して好評だった。来年もこうしたい。六十歳代はもちろん五十歳代の新会員を少しでも欲しいこのごろである。


北九州市芸術祭の漢詩大会に集った人々