(2009年04月27日)

憧れの地を訪ねる

漢詩愛好家訪中団に参加して
常務理事  桜庭 慎吾

 今回初めて漢詩愛好家訪中団に参加し、4/27〜5/4の間、7泊8日。山東省と孔子の里を巡ってきた。

 この訪中団は石川忠久先生を団長として30年間続いている由で、今回が第25回。団員の中には「1年1回のこのツアーに参加することが私の生き甲斐です」と云う人もいる。

 バスの中では石川先生の解説により、今回訪問の縁りの王士禎(号漁洋)や李清照の詩を味合い、又李白・杜甫が斉魯に遊んだ時にのこした詩を鑑賞しながら、その故地を訪ねると云う、中身の濃い旅であった。

 若い頃読んだ史記の春秋時代、齊や魯の数々のエピソードに憧れを抱いていたので、その故地を訪ねることは夢であった。斉の景公の故事を伝える殉馬坑では、四頭立ての馬車と馬が幾百も殉葬されている様を見て斉国の盛事に思いを馳せていた。

山東紀行 其一
齊國都城千駟收 斉国の都城に千駟收め
桓公作覇是何由 桓公覇を作せしは是れ何に由る
遙懐管晏何邊去 遙に懐う管晏 何辺にか去る
今見丘塋麦浪悠 今見る丘塋 麦浪悠かなり

 丁度、麦秀漸々の時候、見渡す限りの麦畑のなか、日が西に傾くまで墳丘に立ちつくしていた。

 コースの後半は孔子の里といわれる闕里を訪ねた。歴代の五朝による手厚い保護もあって広大な敷地の中には、大きな門や御廟がひしめいている。苑内の楷や柏樹を仰ぎながら、中国の歴史を支えてきた孔子と論語のことを思っていた。

山東紀行 其二
山東古廟鬱碑林 山東の古廟鬱碑林
闕里猶思至聖心 闕里に猶お思う至聖の心
記得韻虞忘味事 記し得たり韻虞 忘味の事
正聴律呂往時深 正に聴く律呂 往時深し

 今回の旅行の最後の夜、青島のホテルの晩餐会の席上、古楽を復元して箏や琴に二胡を混えての演奏が披露された。それを聞いているうちに、論語に出てくる、「子、齊に在りて韻を聞く、三月肉の味を知らず」の故事を想い出し感慨深いものがあった。



青蓮閣記念碑前の筆者(右)と石川忠久会長