(2004年01月01日)

お薦めの一首①

春暁  盛唐 孟 浩然(689-740)

常務理事  貫道  窪寺 啓
     春暁
春眠不覚暁 春眠暁を覚えず
処処聞啼鳥 処処啼鳥を聞く
夜来風雨聲 夜来風雨の聲
花落知多少 花落つること知んぬ多少ぞ

 意味は次の通りです。

 春の明けがた、うつらうつら眠っていると、
あちこちで鳴く鳥の聲が聞くともなく耳に入ってくる。
そういえば昨夜の雨や風の音がうるさかったな。
花もどのくらい散ったかな。

 春の朝寝の楽しさを詠じたこの詩の第一句は、日本人にも昔から親しまれて、誰でも一度は口に出して言ったことはあるのではないでしょうか。私も少年の頃に春の朝寝呆の言い訳に親に言った記憶があります。

 今、更めて考えてみると、親も当然のことのように知っていたようですが、特に漢籍に興味を持っていたわけではありません。私も何処で覚えたのか全く分かりませんが、少年なのに時空を超えて朝寝を楽しんだ古人に共感を持っていたのでしょうか。

 そこで、堅苦しい前述の読みや訳を離れて次のように意訳してみました。後に述べますが、これは小説家の井伏鱒二が「厄除け詩集」という本の中で、既に先鞭をつけていたのですが、少しばかり余所行きなので、もっと易しく砕けた調子にしてみました。両方を較べてみて下さい。

◆私の意訳

トローリ夢ミル春ノアサ
ピーチク起スナ木々ノトリ
ユンベアメカゼオオサワギ
サクラハドレダケ散ッタダロー

◆井伏鱒二著「厄除け詩集」より

ハルノネザメノウツツデ聞ケバ
トリノナクネデ目ガサメマシタ
ヨルノアラシニ雨マジリ
散ッタ木ノ花イカホドバカリ

 皆さんも、俺なら、私ならこうやると試しに遊んでみてはいかがですか。ただし、原作の詩の意味を離れず、脱線しないように楽しんで下さい。