(2008年04月01日)

小説「佳人の奇遇」の中の詩

東海散史(柴四郎)「月夜吟」
坂本 担道

月横大空千里明 月は大空に横って千里明かなり
風搖金波遠有聲 風は金波を搖がして遠く声有り
海寂寂兮望茫茫 海は寂々たり望みは茫々
船頭何堪今夜情 船頭何んぞ堪えん今夜の情

〔解〕

 一.月の光りは大空に満ち満ちて、千里の彼方の海までもはっきりと見渡せる。

 二.そよ吹く風は、月の光りに照らされ金色に輝く波を搖り動かし、遠くから波の音を運んでくる。

 三.海はあくまでも寂しく静かに、船上からの海の眺めは、どこまでも広く遠く果てしない。

 四.船のへさきからみる今夜のこの情景は、何とも懐郷の情に耐え難いほどである。

〔説明〕

 この詩はもともと絶句ではない。作者の小説「佳人の奇遇」の中の四詩の一つで、七言古詩の最後の四句で、全詩は日本に対する憧憬の情を述べたもの、月夜の吟の題名も、筆者が都合上つけさせてもらったものである。吟じ方は、起句から高音で吟ずるがよい。

〔好きな理由〕

 この雄大なる構想は実にすばらしいもので、私はベートーベンの月光の曲にも劣らないと称している。