(2008年04月01日)

人々を愛する優しい気持

杜甫「絶句」

紫苑  松本 壽子
江碧鳥逾白
山花欲然

 杜甫の絶句の前半二句の軸があり、春になると床の間に掛けている。

 半世紀も前に恩師から卒業の記念として戴いたものである。後半は思い出しながらゆっくりつけて吟じている。

今春看又過
何日是歸年

 一句と二句とが色鮮やかな情景で、対句になっていること、起承転結がはっきりしていること、短い詩の中に作者の深い思いが込められていることなどの理由によって、初めての作詩の参考にしたことを思い出す。

 以後今日まで「国破れて山河在り」「春望」の詩と共に杜甫の詩を鑑賞し、その特徴を味わうようになった。

 李白の奔放さ、王維の典雅な詩に比べ、叙情の域を脱し、戦乱の悲しみや望郷の念が強く、時事を活写する中に、広く人々を愛する優しい気持が溢れている。