(2008年07月01日)

書籍を愛蔵する気持

菅 茶山「冬夜読書」

福岡県漢詩連盟  会長 三浦 尚司

    冬夜読書    菅 茶山
雪擁山堂樹影深 雪は山堂を擁して 樹影深し
檐鈴不動夜沈沈 檐鈴動かず 夜沈沈
閑収亂帙思疑義 閑かに乱帙を収めて疑義を思えば
一穂青燈万古心 一穂の青灯 万古の心

 菅茶山は江戸後期の儒学者・漢詩人で備後福山の神辺村に私塾「廉塾」を開き、寛厚な人柄で多くの文人墨客に愛されました。読書が趣味の私にとって心に染みる名詩です。

 雪は山堂を埋めつくさんばかりに降りつもり、軒先につるした鈴も動かず樹影も静まりかえっている。厳しい寒さの中で夜のふけるのも忘れて読書に集中し、心静かに書物の疑義について思索していると、ともしびの青い光が聖賢の心にも通じてくる、といった内容の詩文です。

 貴重な和書類は、本を大切に保存するために帙[ちつ]に収められていました。この詩文を読むと書籍を愛蔵していた先人達の気持も伝わってきます。