(2006年01月01日)

岳堂漢詩雑記

全日本漢詩連盟会長  石川 忠久

 平成17年12月3日(土)、10時羽田発で高松へ飛ぶ。尾藤二洲[びどう じしゅう]顕彰会の方々の出迎えを受け、車で約1時間、愛媛県最東部の川之江[かわのえ]に午[ひる]頃到着。1時半より「林和靖[りん わせい]と尾藤二洲」と題して講演する。講演に先立って、地元の女性コーラスが、湯島聖堂より将来した「先儒頌徳歌」を斉唱したのには感激した。

 川之江は、先ごろの合併によって“四国中央市”を名乗っているが、もともと昌平黌教授尾藤二洲(1747−1813)を生んだ地として知られる。地元ではそれを誇りにし、毎年の忌日(12月4日)に記念祭を催している。今回の講演会もその一環としてのものである。

 講演は、二洲の詩に林和靖の名作「山園小梅」を慕って作った“梅の詩”があり、その詩碑を和靖縁[ゆか]りの杭[こう]州西湖[せいこ]畔に建てる(18年3月の予定)のに因んで、両者の詩を鑑賞・批評した。

 翌4日朝、城山の中腹に立つ二洲記念碑(三島中州の文並びに書)の前にて式典が行われる。前夜の雨も上り、絶好の小春日和、海の向こう福山の港も望まれた。

   藤二洲記念祭
望海城頭雨霄天 海を望む城頭雨霄[は]るる天
今朝郷党集群賢 今朝郷党群賢集[つど]
悠悠一百九十二 悠々一百九十[シン]
追慕先生碑石前 追慕す先生碑石の前

 12月9日(金)、日帰りで鹿児島。旧七高跡地に立つ黎明[れいめい]館にて、当地の先賢「西郷南洲と大久保甲東(利通)と重野成斎(安澤[やすつぐ]の詩」の講演をする。西郷の詩はよく知られるが、大久保の詩もなかなかのものだ(失礼)。重野は東京大学初期の教授を勤め、文章家としても知られる。

 好天に恵まれ、行きには桜島が、帰りには高千穂峰と韓国[からくに]岳がよく見えた。

 12月10日(土)、待望の東京都漢詩連盟が賑々しく発足した。二松学舎大学13階のホールで、予想を上廻る100余名の参加を得、一同嬉しい悲鳴を上げる。

 窪寺会長、浅岡副会長以下の役員選任、規約の制定などセレモニーの後、「江戸・東京の詩」と題して記念講演をする。終了後、盛大な懇親会で〆[しめ]くくった。

   賀東京都漢詩連盟創立
江都喜得起新風 江都喜び得たり 新風起こるを
好継古人文雅功 好し継がん 古人文雅の功
今夕歓娯御溝畔 今夕歓娯す 御溝の畔[ほとり]
十三層上意逾雄 十三層上 意逾[いよ]いよ雄なり