(2006年11月01日)

山形県大石田での授業

全漢詩連会長  石川 忠久

平成18年11月1日(水)、9時20分発の新幹線つばさに乗って、11時35分大石田着。亀井田中学の小室けい子教頭が出迎えてくれた。昼時とて、まず当地名物のそばをご馳走になる。鴨汁の丼にそばをつけて食べる珍しい食べ方である。新そばでうまかった。

校長は生憎不在。講堂に集った全校生徒86名に、2時から4時まで、漢詩の授業をする。地元の中学の国語教員10余名も陪聴していた。二部仕立てで、第一部は「漢楚の興亡」というテーマ。NHK「漢詩紀行」の関連部分のヴィディオを見せて導入とする。項羽の「垓下の歌」と劉邦の「大風の歌」を取り上げ、解説、朗読。ことに中国語の朗読は受けたようだ。あとでわかったことだが、中に中国からの帰国生徒が一人いた。

10分休憩して第二部「名詩の鑑賞」。取り上げた詩はいずれも教科書に載っているもの。最初は李白の「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之[ゆ]くを送る」七言絶句を鑑賞した。揚子江の大きな流れのイメージがつかめたかどうか。次に「静夜思」五言絶句、杜甫「絶句」五言絶句、広瀬淡窓「桂林荘雑詠諸生に示す」七言絶句の順で授業を行った。

後日送って来た感想文によると、第一部の項羽と劉邦の話が一番印象に残ったようだ。詩では杜甫の「絶句」が人気が高く、感想を述べたものが多かった。また、広瀬淡窓の詩に触れて、日本人の漢詩のすばらしさに感動した者もいた。

文科省の外郭団体「理科教育振興会」「その道の達人」派遣事業として、年に数回このような授業を試みているが、張り合いのあることだ。お世辞半分にせよ、漢詩に対する関心が深まったという感想文に接するのは嬉しいことで“冥利に尽きる”思いである。

授業終了後、また小室教頭に送ってもらう、少し薄暗くなった中、斎藤茂吉の疎開跡や墓、町の歴史記念館を見学して廻る。記念館では芭蕉の「さみだれ帖」の展観をしていた。

この地は昔、最上川上流の港町として栄え、幕府直轄地(天領)であった。水運によって京都の文化も流入、町は美しい自然に囲まれて瀟洒な雰囲気であった。町民の誇りもまた高いようだ。

最後に、もう閉めてしまった名物団子屋を無理に開けてもらい、おいしい団子をいただいて、大石田を後にした。