(2005年10月29日)

玲瓏たる声にうっとり

金中さんの朗誦会に参加して

全漢詩連常務理事
 菅原 有恒

当連盟運営委員であります金中氏の「中国語で漢詩の名作を朗誦する会」が、平成17年10月29日(土)に、北区滝野川会館にて昨年に引き続いて開催されました。大ホール一杯に漢詩に興味のある方々が押し寄せ、漢詩の珠玉名編を彼独特の節による「朗誦」を愉しんでいました。

舞台の金中さん

演目は、後述の数多の漢詩のほか、日本人の詩吟吟詠家による吟詠として杜甫の「登高」と菅原道真の「9月10日」、現代の歌謡に盛り込まれた李白の「静夜思」、テレサテン(ケ麗君)に歌われた「但愿人長久」に読まれた蘇軾の「水調歌頭」、中国古来の詩吟などがテープを通じて流され、時間の経つのを忘れさす演出を織り込んでありました。

金中氏の美声は始めて聴きましたが、4歳から漢詩を習得したというだけあって、2時間という長丁場を玲瓏たる声調で、強弱、高低、嬉しさ切なさを調和したすばらしいものでした。特に、長編の白居易「長恨歌」は時間にして15分以上連続して歌い上げていくもので、この正調のリズム感の豊かさ、暗記力など幼いころから培ってきたものであろうことがよく理解できました。

演目の主な内容は、李白「静夜思」「早発白帝城」「春夜洛城聞笛」「黄鶴楼送孟浩然之広陵」「望廬山瀑布」「山中与幽人対酌」、杜甫「春望」「登高」「兵車行」、白居易「暮江吟」「琵琶行」「長恨歌」、孟浩然「春曉」、張継「楓橋夜泊」、杜牧「江南春」、王維「竹林館」、柳宗元「江雪」、王之渙「登雀鸛楼」、蘇軾「春夜」「水調歌頭」、菅原道真「九月十日」、土井晩翠「荒城の月」(漢詩訳)など日本でもよく知られている漢詩ばかりで親しみのあるものでした。

石川会長の推薦のお言葉で「中国語はもともと世界で一番音楽的で美しい音調を持つ言語であるから、朗誦に向いている。金中君が幼いころから漢詩に親しみ、朗誦しているので、このたびの朗誦会では、「金中節」の醍醐味が聞けることであろう。中国語の朗誦を愉しむことにより、日本人は一首の漢詩を訓読法による詩吟と併せて、二倍楽しむことができるのである」と言われておりますが、まさにその通りだったと思います。

小生も、全日本漢詩連盟を代表して、一言ご挨拶をさせていただきました。

金中氏は、明年初めには、10年に亘る留学生活を終え帰国され、故郷の西安の大学で教えることになるとのことです。いつかまた、金中節を是非聴きたいと思います。