(2007年04月03日)

桜の金沢文庫・称名寺へ

神奈川県漢詩連盟吟行会

全漢詩連常務理事  桜庭 慎吾

平成18年秋に発足した神奈川県漢詩連盟は、県内の漢詩同行の士女の交流と研鑽を図る為に初めての試みとして、4月3日に金澤文庫・称名寺の吟行会を実施した。

金澤文庫は鎌倉中期、北条実時の創設による北条氏の学問所で数々の文物を伝え、称名寺は北条氏の菩提寺として往時の浄土式庭園の作風を遺している。

3月末の春寒に足踏みをして待っていたかの如くに吟行会の当日桜花は満開であった。県立博物館でもある金澤文庫では折りしも「弁財天の企画展」が開催中で、インドの河神として誕生した弁財天が、日本に渡来してどの様に変容したかについて学芸員より詳しい説明を受けた。金澤文庫の見学を終えて隣の称名寺の庭園の散策に移った。

朝方の小雨模様に幹事はハラハラし乍ら空を見上げていたが、軽い湿りは却って寺苑や背後の山の緑に潤いを与え風情が増していた。金澤文庫から称名寺へ通ずる径は小さなトンネルによって結ばれているが、トンネルを抜けられた石川岳堂先生ご夫妻は眼前に拡がる池辺の桜花にちょっと杖を停められ、軽く溜息を洩らされた。側にいた小生はこの模様を拙い詩に写した。

看花吟歩
鴬語頻繁樹蔭聴 鴬語頻繁樹蔭に聴き
称名寺裡杖藜停 称名寺裡 杖藜停む
賽来騒客最歓處 賽し来たる騒客 最も歓ぶ処
池畔桜雲淨土庭 池畔の桜雲 淨土の庭

池央に架る朱塗の反橋と桜を背景に、参加者32名の記念撮影に入る頃には雨も霽れ、三々五々境内の散策を楽しみ乍ら昼食・懇談の会場である山門に隣接する料亭の「ふみくら」に向った。



称名寺池畔にて

昼食後は自己紹介、そして漢詩を始めた動機など自由な発言の中で互いの交流も深められた様だ。日本漢詩界の重鎮であられる石川岳堂先生・窪寺貫道先生に間近かに接した参加者の中から感激の言葉が洩れていた。両先生からは即席の作詩が披講されると共に、参加者のひとりである陳蔭女史が中国語で朗詠された。心地よい中国語の韻の響きに改めて漢詩の魅力にひかれる思いがした。

後日、県連盟の磯野・水城両理事のご尽力により「称名寺吟行会」と題し、写真をちりばめ、小詩集として25首を収めることが出来た。今回の吟行会の成果として一里塚になればと念じている。