(2007年05月01日)

越前曲水宴に思う

漢詩普及のためのPR手段ともなりそう

福井県漢詩人協会会長  南出 如水

平成19年5月、福井県越前市(旧武生市)に於いて、「越前曲水宴」が開催されました。

会場となった味真野苑の在る越前市の一帯は、奈良時代に越前国府が置かれた処で、近郷の中心地として栄え、現在も「府中」と呼ばれています。又、式部が越前国主に任じられた父、藤原為時と共に生涯でただ一度都を離れて暮らした場所としても有名です。

「越前曲水の宴」は、中国の書聖と言われる王義之の書法を守る蘭亭社が主催して行なわれました。行事は、まず流水を清める儀式の後、15名の参宴者が狩衣、小袿姿で座に着き、耳杯でお神酒を頂いた後、短冊に漢詩を揮毫し、鳥形の小舟の上の朱盆に乗せて、再び曲水に流すという真に幽雅なものでした。王義之の言を拝借すれば、「一觴一詠亦足似暢叙幽情」と言うべきものでしょう。

現在我国の各地で催されている「曲水の宴」は、平安時代に盛んであった和歌を中心とした「歌遊び」を伝承していますが、漢詩、漢字文化発祥と合わせてその源が「蘭亭曲水宴」にあることは明白です。

そのような視点で捉えれば、福井県漢詩人協会がこのイベントに参加したことは画期的であり、まことに意義深いものがあります。漢詩が静かな拡がりを見せている昨今、このような催しを漢詩普及のためのPR手段として一考してみるのも面白いのではないかと思います。

今後、全国各地の漢詩団体に、「曲水の宴」開催の機運が高まってくることを期待してやみません。




春の越前曲水宴は大いに賑わった