(2005年07月01日)

平穏な毎日を願って

「扶桑風韻」第2号 優秀作  松本 壽子

  風行天上    風行天上[ふうこうてんじょう]
暦回乙酉復干支 [こよみ]は乙酉[いつゆう]に回[めぐ]
干支[かんし][か]える
迎看靈峰似舊時 [あお]ぎ看[み]る霊峰[れいほう]
旧時[きゅうじ]に似[に]たり
無義兵爭猶未已 無義[むぎ]の兵争[へいそう]
[な]お未[いま]だ已[や]まず
風行天上夢成遅 風行天上[ふうこうてんじょう]
[ゆめ] 成[な]ること遅[おそ]

昭和20年の8月の暑い日、ラジオを囲んで祖父母、両親、兄姉らが集まっていた。暫くして庭で遊んでいた私が部屋に入ってみると皆元気のない、虚ろな表情をしていた。

あれから60年が経ち、郷里の山山は全く変らず「国破れて山河あり」の心境で、あの日のことを思い出した。

上京して進学、就職し、夏休みに帰省すると、高台にある家の庭に立ち、南に大きな富士山、北に八ッ岳を眺めて、リフレッシュをしたものである。

今も世界のあちこちで起っている戦禍のニュースを聞き、自分達の平穏な毎日がいつまでも続くように、又地球上全てに争いがなくなるようにと夢を追っている。

そこで、和やかで心地よい平和の風が天上を吹くという、周易の「風行天上」ということばに託して作詩を試みました。