(2005年07月01日)

「初学詩偈法」で目からウロコ

『扶桑風韻』第2号 最優秀作  田中 久治

   秋夜江上作  秋夜[しゅうや]江上[こうじょう]の作[さく]
孤舟落日路漫漫 孤舟[こしゅう] 落日[らくじつ]
[みち]は漫々[まんまん]たり
萬里秋風七里灘 万里[ばんり]の秋風[しゅうふう]
七里[しちり]の灘[だん]
漂泊他郷人亦老 他郷[たきょう]に漂泊[ひょうはく]して
[ひと]も亦[また][お]
一江皺月水光寒 一江[いっこう]の皺月[しゅうげつ]
水光[すいこう][さむ]

課題の『風』について、をどの様に詠むか想いを廻らし、先賢の詩集を繙きました処、梁川星巖の詩『藍川舟中』「秋風吹皺一川波」とあり、私が停年の5年前に遠地の関連会社へ出向の命を受け赴任した時、淋しい孤独感に襲われ、当時のことを思えば実に印象深い詩であり、その一句から発想しました。

構想をたて、「秋夜江上作」と題し、先ず韻を「寒韻」と決め、結句下三字を「水光寒」と定め、後半二句が出来ました。漂泊他郷は、杜牧の詩に「落魄江湖載酒行」とあり換骨奪胎の手法を試みました。皺月は李商隠の詩の「皺月覚魚來」とあります。

前半二句については、日頃、承風先生に「結句を決めたらその伏線で、承句の下三字を定め、それから起句の下三字を定めるべし」と教えられており、承句の下三字を「七里灘」、起句の下三字を「路漫漫」としました。七里灘は劉長卿の詩『使還七里灘上……』「孤舟暫泊子陵灘」とあります。路漫漫は岑参の詩に「故園東望路漫漫」とあり、萬里秋風は陸游の詩に「萬里秋風菰米老」とあります。

平成8年四日市市中日文化教室に入会して4年目を迎え、何んとなく行きづまりを感じていた頃、服部承風先生の著書『初学詩偈法』を奨められ、早速購読してビックリ、「目から鱗が落ちる」とはこの事で、夢中で実践しました。お蔭であちらこちらで入選出來る様になり、又、扇社(心聲社直轄)にも入門して益々熱くなり、いつのまにか癖となり狂となり、漢詩の書も一冊の「誰漢」から今では、大きな書架に一杯となりました。

『初学詩偈法』は私の聖書[バイブル]であります。



賞状をうける田中久治さん