(2007年08月15日)

詩は題に切実であれ

『扶桑風韻』第4号 最優秀作  柴田 隆全

  早春聽禽  早春[そうしゅん][とり]を聴[き]
新雪纔消些暖生 新雪[しんせつ][わず]かに消[しょう]して
些暖[さだん][しょう]
梅花含笑曉風C 梅花[ばいか][えみ]を含[ふく]みて
暁風[ぎょうふう][きよ]
隔簾?v聞鶯語 [れん]を隔[へだ]てて
?v[けんかん]鶯語[おうご]を聞[き]
此是迎春第一聲 [こ]れは是[こ]
[はる]を迎[むか]う第一声[だいいっせい]

この度の「扶桑風韻」の課題は「鳥(禽)ということでしたので、まず最初に色々な鳥を思い浮かべてみました。その中で一番印象的に思い起こされたのが鶯でした。毎年2月下旬頃になると、必ず自坊の寺に鶯が飛来して、早朝「ホウーホケキョ」と鳴いて春到来を告げるのです。

当初は、何とかこの鶯の詠物詩を作ろうと挑戦してみました。しかし、どうにもうまくいきませんでしたので、方向転換をして、鶯を詩の中に読み込むことで一詩をものにしようと考えました。幸い以前に「聞鶯」という題で習作していたので、多少手直しして左の詩を得ました。このとき詩題を考える上で、直接的に「鶯」という語を入れると「鶯」というイメージが先行して、次の詩にふさわしくないと思い「早春聴禽」という題にしました。

  庭雪纔消嫩草生 梅花含笑暁風C

  隔簾?v幽禽語 此是催春第一聲

何度もこの詩を読み返して、先ず起句「庭雪」では単に庭の雪ということになって、いつ降ったとも分からないので、「新雪」に換え新鮮さを出そうとしました。更に、下三字「嫩草生」では早春の暖かさが表現されていないので、「些暖生」にしました。

平生から服部承風先生より、詩は題に「切実」でなければならないと教えられております。そこで、転句「幽禽語」では詩題の「聴禽」にそぐわないと思い、頭の中にあった鶯のことをもっと明確に示したほうがよいと考え、平仄も考慮に入れ「聞鴬語」としました。

結句「催春」では、本当に春の到来を待っていたと言う思いが希薄であると考え、「迎春」としてその積極性を表現しました。

今回図らずも最優秀賞を頂戴致しましたが、先ず以て師の服部承風先生に感謝申し上げますと共に、石川会長先生を初め諸先生方に深く謝意を表します。今後は、この賞を糧として更に精進して参りたいと思っております。