(2007年08月15日)

感銘深い「漢詩の世界」

『扶桑風韻』第4号 優秀作  風岡 正明

    秋郊即事  秋郊[しゅうこう]即事[そくじ] 
西風吹度荻蘆州 西風[せいふう][ふ]き度[わた]
荻蘆州[てきろしゅう]
野渡無人落日流 野渡[やと] 人[ひと][な]
落日[らくじつ][なが]
孤雁高飛何處去 孤雁[こがん] 高飛[こうひ]
[いず]れの処[ところ]にか去[さ]
哀鳴切切一聲秋 哀鳴[あいめい] 切々[せつせつ]
一声[いっせい]の秋[あき]

去る5月12日、全漢連の理事会にあわせて授賞式が催され、会長の石川忠久先生から賞状と副賞を授与していただきました。副賞は石川先生の近著『新漢詩の世界』、先生のサイン入りです。私が漢詩作りの勉強を始めた頃、たまたま手にして強い感銘を覚えたのが、やはり先生の『漢詩の世界』でした。単なる偶然といえばそれまでですが何か不思議な縁のようなものを感じました。

この度の課題「鳥」に取り組むに際し、初めは我が家の庭先に設けた餌台のご飯粒に誘われて毎朝やってくる雀たちをテーマにしようと、あれこれ想いを巡らしていましたが、なかなかまとめることが出来ず、結局ふと浮かんだ晩秋の夕暮の一場面をもとに、「雁」を詠うことに方針を変更しました。また出来るだけ「詠物体」に近いものとなるよう仕組んでみたところ、今度は意外にあっさり仕上げることが出来ました。初めは雀でいこうとあれこれ詩集を繙きながら「鳥」を詠じた詩をいくつかまとめて読む機会があったお陰かもしれません。

それにしても推敲らしい推敲も経ないものでしたので、入賞の通知をいただいた時は嬉しいよりも驚きの方が大きく、何だか申し訳ないようで気がひけます。

私は「書」を専門としていますが、書をやる人、殊に漢字を中心とする人は漢詩に対する素養を積むことが大事だと思っています。私にとって「詩」は趣味の世界と言うべきかも知れませんが、考えてみれば書も趣味のようなものです。今後も「詩書」の世界を楽しんでいこうと思っています。

最後になりましたが、この度の栄誉に浴することができましたのも日ごろ服部承風先生のご指導のお陰と深く感謝しています。この場を借りて御礼申し上げます。