(2007年08月15日)

「夕焼小焼」のイメージ

『扶桑風韻』第4号 秀作  古田 茂

   山樓晩眺  山楼[さんろう]晩眺[ばんとう] 
積翠浮嵐染葛衣 積翠[せきすい]浮嵐[ふらん]
葛衣[かつい]を染[そ]
石?攀盡瀑聲微 石?[せっけい]を攀[よ]じ尽[つ]くせば
瀑声[ばくせい][かす]かなり
高樓日落山風冷 高楼[こうろう][ひ]は落[お]
山風[さんぷう][ひ]ややかに
天半成群飛鳥歸 天半[てんぱん][む]れを成[な]して
飛鳥[ひちょう][かえ]

鈴鹿山脈の主峰、御在所岳の山麓にある湯の山温泉ホテルで催された心聲社夏季合宿研修会で出された課題「山楼晩眺」の作品。

条件として「用白居易香山避暑詩韻。示例(七言絶句、上平声、五微韻)

  紗巾草履竹疎衣

  晩下香山?翠微

  一路涼風十八里

  臥乗籃輿醉中歸

この名詩を参考に、同韻、三韻をそのまま使って夜を徹して詠み上げる。助言は明朝2時、7時の2回で締め切り。酒宴後の午後9時頃から1年分の勉強を一夜で一首にまとめる厳しい苦悩の中での体験の成果が、計からずもこの度の「扶桑風韻」第四号に取り上げられ、誠に光栄に存じております。

本来は「鳥」が主題となるべきところですが、私には詠物体の作詩力はありません。応募要領には「鳥」に関係があれば可とする─との寛大な点にとびつき、赤面を覚悟で投稿しました。

[かつ]て安野光雅画伯が子夜呉歌のはやり歌を会報第12号でユーモラスに書いておられましたが、私の拙詩からは日本の童謡「夕焼小焼」のイメージに少しでも近づいておればよいと考え、お寺の鐘の音を微かに聴こえる蒼滝[あおたき]「瀑声」に。また夕暮れの雰囲気を「山風冷」にして烏[からす]「飛鳥帰」で結んであります。

今回、格調高き二松学舎大学を初めて訪れ、全漢詩連の理事会・評議員会の真摯なご討議の様子を見学、石川会長はじめ諸先生方のご尊顔を拝する機会に恵まれたことに望外の喜びを感じております。