(2008年07月01日)

「點字」操觚顛末

『扶桑風韻』第5号 優秀作  竹内 保正

   點 字
曉夜無分恒復常 暁夜[ぎょうや][わ]かつ無[な]
[こう][ま]た常[じょう]
幽明不覺渺還茫 幽明覚えず 渺[びょう][ま]た茫[ぼう]
孜孜點筆彫章牘 孜々[しし]として点筆[てんぴつ]
章牘[しょうとく]を彫[ほ]りて
幾許為君加眼光 幾許[いくばく]ぞ君が為[ため]に眼光を加えん

此の度の課題「光」を戴き、作詩のモチーフとして先ずイメージしたことは、平素、聊かながら関わっております点訳活動を通しての視覚障害者の姿でした。物理的〈光〉の無い世界での生を余儀なくされている人々への『光を!』は、点訳従事者にとっての願いでもある事から、その事を詠んでみようと詩材を得た次第です。

詩の前半は、晴眼者の立場で全盲者の視感覚を詠もうとすることから、差別・偏見の喚起、被者の尊厳を損なう事等の無い採語を心がけ、又、構成としては対句とすることによる相乗効果を期待したものです。

転句は、当初「辿章牘」としていたところ、安井草洲先生より「この辿は和語」とのご指摘を受け、己の浅学、不注意を認識させられた事でもありました。

結句は、「得足光」と控えめな表現としていましたが、先生より「詩としては、前向きな表現がインパクトがあって良い」とのご助言を頂き、「加眼光」とする事により、格段な印象付け効果を付与し得たと思われます。

取りも直さず、平生よりの幾多の安井先生の剴切なご指導、ご助言の下、どうにか完成に至った作品ではありました。

蛇足ながら、此の度の受賞の感激を以下のように詠んでみました。ご笑覧下さい。

   望受賞謝師輔詠
問津藝苑道多難
耆碩俊髦従學壇
不計非才當溢誉
之師之友共筵歡