(2009年05月09日)

母の懐かしい面影を偲んで

「扶桑風韻」第6号 最優秀賞  有賀常子
    聞絡緯
颯颯秋風入破幃 颯颯たる秋風 破幃に入り
窓前梧葉葉頻飛 窓前の梧葉 葉 頻に飛ぶ
難忘老母暗燈下 忘れ難し 老母が暗灯の下
絡緯聲中獨補衣 絡緯声中 独り衣を補いしを

此の度の扶桑風韻の課題は「音あるいは韻」とのことで、まず閃いたのは、幼い頃、秋の夜長に、虫の声を聞きながら、母が暗い電燈の下で縫物をしている姿でした。

その横顔、後ろ姿は今も目に浮かびます。この懐かしい面影を偲びながら、詩を考えることにしました。

転句、結句は難しく考えないで、ありのままを詠み、起句は肌寒い秋風の吹く音と、搖れるカーテン、承句は、木の葉の舞うさまを描写、「窓前庭樹葉頻飛」としましたが、読み返している内に、庭樹ではイメージが弱いと感じ、梧葉に訂正「窓前梧葉葉頻飛」として、完成しました。

気になるのは、葉と葉が重なることでした。

服部承風先生が中国語で読むとイントネーションが少し気になると、ご指摘下さいましたが、よい考えは浮かびませんでした。

よく使う二字語を取り入れた平凡な詩なので、最優秀賞のお知らせを頂いた時は、本当に驚き嬉しさで胸が熱くなりました。

これも平素先生のよきご指導を賜りましたお陰と改めて深くお礼申し上げます。

5月9日には、授賞式に参加させて頂き感激も新たに、これからもこの喜びを、心に留めて、一字に迷いながら精進してまいりたいと思っています。