(2009年02月15日)

越前海岸の水仙を想像

茨城県漢詩連盟会長賞  森下智恵

  越前野水仙   越前野水仙[えちぜんやすいせん]
嶺南春早水仙ク 嶺南[りょうなん] 春[はる]は早[はや]し 
  水仙[すいせん]の郷[さと]
碧葉蒙崖獨擅場 碧葉[へきよう] 崖[がい]を蒙[おお]い 
  独[ひと]り場[じょう]を擅[ほしいまま]にす
綿麗佳人向風立 綿麗[めんれい]の佳人[かじん] 
  風[かぜ]に向<む>かって立<た>ち
似搖冠子與銀? [ゆ]らぐに似[に]たり 
  冠子[かんし]と銀?[ぎんとう]

「見て来たような嘘をつき」と言いますが、日本海に面する越前海岸の段丘に、野水仙の花が咲き競っている景をまだ見たことがない。この海岸道路を車で通った時は、夏で時期的に花は無く、濃い緑の葉がザワザワと繁って強風に吹かれていた。

説明によると、この辺りの丘は早春になると一面に水仙の花が咲き見事な風景になるとのこと。でも、そんな寒い時期に寒い所へは訪れたくないので、行くことを躊躇している。

家の庭先で咲く水仙の白い小花は、とても清楚な芳香を漂わす。花の中心に黄色の環があり、それが髪飾りのティアラを載せているようで、またイヤリングのような揺れがある。

茎の根元には、葉をまとめる白い袴をつけているので、宛ら美人が白いブーツを履き立ち並んで、小聲でお喋りをしているように感ずる。

不図思い出す「あの越前海岸の野水仙が全部咲いたら…」と構想が浮んだ。一面に繁っている様子は「蒙崖獨擅場」水仙の花は擬人法で表した。

図らずも賞を頂きましたので、ぜひ今年こそは越前の冬の味覚、越前ガニを味わうことも目的にして訪れたいと思っている。