(2009年02月15日)

暁鐘楼に若き日を憶う

国文祭実行委員会会長賞  石川省吾

  偕樂園曉鐘樓 偕楽園暁鐘楼[かいらくえんぎょうしょうろう]
好文雪魄耐寒發 好文[こうぶん]の雪魄[せっぱく] 
  寒[かん]に耐[た]えて発[ひら]
吐玉奔泉洗耳? 吐玉[とぎょく]の奔泉[ほんせん] 
  耳[みみ]を洗[あら]って?[めぐ]
紅頬嘗回名苑徑 紅頬[こうきょう] 嘗[かつ]て回[めぐ]
  名苑[めいえん]の径[こみち]
白頭尚聽曉鐘聲 白頭[はくとう] 尚[なお][き]
  暁鐘[ぎょうしょう]の声[こえ]

この度は分に過ぎた賞をいただき、只々恐縮しています。この種の大会には勿論初参加ですし、前師進藤虚籟先生の「漢詩人」以外には投稿したこともありません。

書家のはしくれの身、書の師松本芳翠先生や中平南谿先生に倣って素養として細々と作詩の勉強を続けて来たまでのことです。

今回は若き日旧制水戸高校に学んだ縁もあり、応募を決めて旧作に手を加えました。

暁鐘寮は徳川斉昭公の歌にちなんで名付けられた同校の寮名、そのシンボル暁鐘楼が偕楽園に再建されて同窓会が行われた時を思い出しての作となりました。

雪魄や洗耳の語は詩語集から拾いました。好文が既に梅を意味し雪魄も梅の花でダブルかなと思いましたが、それ以上の工夫はかないませんでした。

ひねっているうちに何とか前後ともに対句仕立てらしくなりました。実は千波湖を詠み込んだもう一首も準備し、鷲野翔堂先生のご批正を賜りましたが、最終的にご相談したらこの方がよかろうとのお言葉を得、決定稿にした次第です。