(2010年02月15日)

奥深い詩語に出会った

若年奨励賞  中田 澪

    客中聞鵑  客中[かくちゅう][けん]を聞[き]
杜鵑一叫訴冤鳴 杜鵑[とけん]一叫[いっきょう]
 冤[えん]を訴[うった]えて鳴[な]
游子何堪故國情 遊子[ゆうし] 何[なん]ぞ堪[た]えん
 故国[ここく]の情[じょう]
庭樹陰陰孤月下 庭樹[ていじゅ] 陰々[いんいん]
 孤月[こげつ]の下[もと]
客心寂寂夜三更 客心[かくしん] 寂々[せきせき]
 夜三更[よるさんこう]

「客中聞鵑」の題に取り組むにあたって、杜鵑は、国に帰りたいと思いながらなくなった蜀の望帝の魂が鳥に化したものだということを知り、是非、この故事を踏まえた漢詩を作りたいと考えた。

また客中の作という設定なので、旅人の思いと、鳥と化した帝の思いが響きあうような作品にしたいと思った。

一度は書き上げたものの、できばえに満足できず、どこかに対句を入れてみることにした。

結句の「客心寂々夜三更」はすんなり作れたが、これに合う転句がなかなかできず苦労した。杜鵑が、哀切な声で啼くということにも惹かれ、最初「啼血声」を承句の下三字に据えていたが、推敲を繰り返して「何堪故国情」に行き着いた。

自分なりにがんばって作り上げた詩なので、奨励賞を受賞できて、とてもうれしかった。

時間をかけて取り組むなかで、知らなかった多くの詩語に出会い、その意味や背景を知ることが出来たのもよい勉強だったと思う。