(2010年02月15日)

岑参の意中を追憶して

群馬県漢詩人協会会長賞  河田昇平

多年に亘り詩吟、漢詩に親しんで来たため各地の海外旅行のうちでも中国が最も多く、若い頃は東部地方で、齢八十を過ぎ、老躯に鞭打ってのチベット旅行まで合計九回に及びました。

長江三峡下りの旅では船上で白帝城を望んで、同行の詩吟会員で李白の「早に白帝城を発す」の合吟を行い、また岳陽楼上では杜甫の「岳陽楼に上る」を独吟し中国人が喜んでくれた想い出があります。

今回の入賞作「玉門関客中の作」は数年前シルクロードの旅で、砂漠の果ての玉門関に到り、岑参の西域での詩「家を辞してより月の両回円かなるを見る」「磧中の作」を思い出し、長安より満月を二回も望みこの様な辺境に到着し任に当った岑参の意中を追憶し、哀愁と共に一刻ホロットした想い出を詩に託したものです。

玉門関客中作 玉門関[ぎょくもんかん]客中[かくちゅう]の作[さく]
漠漠沙場行路艱 漠々[ばくばく]たる沙場[さじょう]
 行路[こうろ][かた]
天涯萬里隔人寰 天涯[てんがい] 万里[ばんり]
 人寰[じんかん]を隔[へだ]
兩回圓月望邊塞 両回[りょうかい]の円月[えんげつ]
 辺塞[へんさい]に望[のぞ]
往昔征蓬憶玉關 往昔[おうせき]の征蓬[せいほう]
 玉関[ぎょくかん]に憶[おも]

中国旅行ではそれぞれの地で先賢の詩を実感し、写真撮影と共に拙詩を賦すことを楽しんで来ました。今回の「玉門関客中の作」もその旅行の時の詩を推敲し応募した詩です。

偶ま優秀賞を賜わった事を大変嬉しくまた光栄に思い、これを励みに今後共漢詩作詩を続けてゆく心算です。