(2010年02月15日)

白楽天の七律からヒント

茨城県漢詩連盟会長賞  富岡成夫
   雪月花  雪月花[せつげっか]
白絮敷瓊t若沙 白絮[はくじょ] 瓊[たま]を敷[し]
 t[きょう]として沙[さ]の若[ごと]
同雲去盡玉蟾斜 同雲[どううん] 去[さ]り尽[つく]して
 玉蟾[ぎょくせん] 斜[ななめ]なり
回頭疏影綴珠蕾 [こうべ]を回[めぐ]らせば疏影[そえい]
 珠蕾[しゅらい]を綴[つづ]
C冽爭妍雪月花 清冽[せいれつ] 妍[けん]を争[あらそ]
 雪月花[せつげっか]

今年の全日本漢詩大会の題が「月」とされ、これは難しいなと先づ感じた。古来「月」を詠じた詩は、どれ程有るであろうか、数へる術もないが、恐らく厖大な数であろう。

私の読んだ先人の詩の中にも、かなりの数が有ると思うが、その中から数首採り出し換骨奪胎を試みたが、なかなか剽窃の域から抜け出せず、これ又難しい。

そこで白楽天の七律「寄殷協律詩」の頷聯後句「雪月花時最憶君」からヒントを得て題を「雪月花」とした。

雪と月と花は、賞玩される代表的なものとされているので、此の三つを競はせて見たいと思った次第である。

先づ結句から手がけ「清冽爭?脂ヤ」と六麻の韻を踏んだ。次に転句に花を採り、我が庭の紅梅に登場させた。開いたのも綺麗だが、膨らんだ蕾が枝先へ向け次第に粒が小さく並んで垂れた姿が良い。佳賓好主、月を迎へ雪を添へれば尚美しい。

起承は素直に雪月の順とした。我が大分市中心部は、本格的な雪はもう二十年以上降っていないが、山間部は毎年かなりの降雪が有る。

起承の二句は、数年前の三月上旬、高原の温泉へ出向いた折、目にした光景を詠じたものだが、午後からの雪が、宿に入る頃は十五センチ程積っていたが、夕食の終った頃には已に罷んでいた。廊下の椅子から外を眺める中、晴れ間から満月に近い月が姿を見せ雪原を照し出したが、神秘的な美しさに圧倒され、茫然自失暫し見とれたのである。

以上で「雪月花」については筆を措くが、若い頃から漢詩には興味を持ち、停年後年寄りの冷水で、詩壇の末席を汚している。今後共、生涯学習としての漢詩に親しんで参りたいと思っている次第である。ご教示を乞う。