(2010年02月15日)

わが家の庭の情景

埼玉県漢詩連盟会長賞  森高久男

   新秋閑居  新秋閑居[しんしゅうかんきょ]
一雨一晴秋至初 一雨一晴[いちういっせい]
 秋[あき][いた]る初[はじ]
炎威漸散野人居 炎威[えんい] 漸[ようや]く散[さん]
 野人[やじん]の居[きょ]
開窗月影破雲皎 [まど]を開[ひら]けば 月影[げつえい]
 雲[くも]を破[やぶ]って皎[しろ]
可聽蟲聲可味書 蟲聲[ちゅうせい]を聴[き]く可[べ]
 書[しょ]を味[あじ]わう可[べ]

今度図らずも「特別賞」という栄誉ある賞を頂きありがとうございました。これも日頃愛の鞭を頂いている伊藤竹外先生の訓導の賜と深く感謝いたしております。

さて詩題は「月」でしたが詠物詩として取り上げるのはむつかしいと考え、結局「新秋閑居」とし平凡ですが書斎から見える我が家の庭の情景を詠じることゝいたしました。

実際に趣向を立てるに当っては「景」「情」のいずれかを、起承転結のどこかに入れ新秋の風味を現出さすべくあれこれと構想をいたしました。

詩材として@疎々たる雨が初秋を知らせること、A転、結句のいずれかに「月」の語を入れること、B虫の声、読書の況を入れること。これらを平静淡白に描写しようと試みました。

参考図書は「詩韻精英」「圓機活法」「漢詩講座」「尾藤二洲(朱子学者)等。

さて「結句」下三字は、初め「野叟居」でしたが、伊藤先生の指導により「可味書」と改め上四字を整へ「転句」は起句、承句を受け結句への伏線として「開窗月影破雲皎」とし「…だから」と結句へ繋ぐこととし視覚の面から詠じました。

又、「起句」「承句」については、仲々新秋の趣が湧かないので結局「尾藤二洲伝」中の律詩「新秋雨」「沛雨油雲秋至初」から着想し「一雨一晴秋至初」を得て、承句で「炎威漸散野人居」を作詩しなんとか一首を取りまとめた次第です。